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【神様のおつかい動物手帖】を読んでワンランク上の寺社巡り!

御朱印帳片手に、全国の寺社を回るのが大好きな私。

しかし、その先々でかねてより気になっていたことがあるんです。

それは狛犬お稲荷さんにみられる、動物が神様の使いとして祀られてることです。

何が気になるって、この祀られている動物が寺社によって様々なんです。

なぜこの動物をピックアップして信仰するようになったのか気になっちゃって、この地にどんな逸話が伝わっているのか、誰かかいつまんで分かりやすく教えてほしいって思ってたんです。

そこで出会ったのが【神様のおつかい動物手帖】です。

各地に残る動物への信仰が1冊にまとまっているこの本で、これからの参拝のグレードを上げて、参拝仲間に思いっきりマウントを取れること間違いなしです。

寺社好きのみならず、動物好きの方にもおすすめの一冊ではないでしょうか。

驚異の大出世!いたずら者から神の使いになった“サル”

人里に降りてきて畑を荒らしたりと、現代でも問題を起こす“サル”は、害獣としてのイメージが強いです。
昔話の『さるかに合戦』でも悪者として描かれています。

しかしこれがある時から、逆に敬い祀り上げることで、それを鎮めるという発想になっていきました。

猿の字は「えん」とも読まれることから「」との連想も生まれて、一部では商売繁盛や縁結びのご利益もあるとされてます。

滋賀県の日吉神社の総本社・日吉大社の西本宮楼門には、屋根を支える“棟持猿”という力持ちの猿がいたり、東京都の日枝神社には夫婦円満や縁結びの御利益があるとされている神猿の夫婦像が飾られていたりと、“サル”への信仰をカタチとしてみることが出来ます。

神様というより怪物と言った見た目、8本足の“タコ”のご利益って!?

タコはその見た目から世界的には恐れられることの多い動物で、日本でも大ダコ伝説が残っていて、しばしば畏怖の対象とされてきました。

その一方、タコが善良なイメージで語られる神話も日本にはあります。

鳥取県の福岡神社は、タコを神使としていて、「蛸明神」の異名でも親しまれています。

京都府の永福寺は「蛸薬師」と呼ばれ、“なで薬師”という木製のタコ像を撫でると、万病が平癒すると言われています。

また、東京の高尾山薬王院にあるタコの木像は、掲げると開運、置くと試験に合格するとされて、保護により触れられなくなった蛸杉に代わる新名所として賑わってるようです。

おなじみペット“ネコ”は福を招く蓄財の象徴!?

今大人気のネコは、平安時代頃からペットとして親しまれていましたが、同時に霊力を秘めた動物と考えられ、畏れられていたようです。

代表例は化け猫になるというもので、その言い伝えは全国に広がっています。しかしその内容は様々で、人を祟るものもいれば、夜ごと手ぬぐいをかぶって踊るだけの呑気なものもいて、伝承ごとに全く違ったキャラクターなのもネコっぽいですね。

また、ネコにまつわる縁起物といえば招き猫。発祥は諸説あるけど、養蚕産業における天敵のネズミを退ける守り神として信仰されていたため、蓄財や繁栄の象徴としてのイメージがついたのかもです。

ちなみに招き猫はあげている手によってご利益が変わり、右手をあげた猫は金運向上、左手を挙げた猫は人を招くという言い伝えがあります。両手を上げた猫は「お手上げ」を連想して嫌う人もいるようです。

不吉な鳥なのに幸福の使い?“フクロウ”のミステリアスな二面性

東洋ではフクロウは不吉な鳥とされ、江戸時代の『本朝食鑑』には、フクロウ「人家の近くにいる時は凶」と書かれています。
それは、雛が成長して母鳥を食べるという言い伝えがあり、親不孝や不義の象徴だと考えられていたためです。
しかしアイヌの間では、シマフクロウはコタンコロカムイ(集落の守り神)といわれ、鳥の中でも特に位の高い神とされました。
また、「不苦労」「福籠」の語呂合わせから福を呼ぶ鳥とも考えられています。

動物信仰を深く知ることで、日本人の豊かな経験の記憶を受け継ぐ!

古来より、私達の暮らしは常に動物とともにありました。恵みをもたらす家畜や獲物であり、一方で災いを予兆し害をなす恐ろしい存在でもありました。昔の人たちはそんな存在に神の意志を見出したんですね。
民話、神話、伝説などを掘り下げると、日本人と動物との関わりが浮かび上がり、昔の人が何を願って動物達に投影して生きてきたのかがわかってきます。
動物信仰を知ることで、現代を生きる私もまた願いを動物に投影して生き方を豊かにできたらと思わせてくれる1冊でした。

「神様のおつかい動物手帖」(笠倉出版社)

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