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【生きている化石図鑑】変わらぬ姿で生き延びてきた生物たちから生きるヒントを読み解く

「生きている化石」という言葉は、19世紀に活躍した自然科学者ダーウィンが使った言葉で、「太古の昔から偶然に絶滅を免れたグループ」という意味がこめられています。

その一方で、日本古生物学会が編集した『古生物学事典』の「生きている化石」は、「祖先やその近縁種に似た姿を持ちながら生きている生物」という意味合いで使われています

シーラカンスやゴキブリなどが「生きている化石」の例としてよく挙げれるのは、シーラカンスやゴキブリの現生種と似た姿の祖先あるいは祖先の近縁種が化石で確認されているからです。

しかしこれはふわっとした話で、「似ている」の基準が示されていません。

「祖先」といっても、どの程度昔の祖先なのかはわかりません。実のところ「生きている化石」学術的に厳密な定義が定まっているわけではないのです。

このふわっとした話を、ふわっとしたまま楽しむ事ができるのがこの【生きている化石図鑑】です。


専門家が見れば「似ていない」ものであっても専門外の眼で見れば「似て見える生物」の今昔を集めて比較しています。

長期間にわたって生き続けた生物たちの「姿」に注目しながら、なぜ長い期間にわたってそのフォルムでいるのかを考えられる一冊になります。

変わらないこと」に、なにか自分の生きていくヒントが見つかるかもしれません。

生命史上最も長く続いてる生物たちからDNAを残すヒントを探る

フォルムを変えずに最も長く生き続けてきた生物といえば「カブトガニ」です。


世界各地に4種生息していて、それぞれ学名は属名から異なり、生息域もかなり離れていますが、その姿はとても良く似ていて、4種とも「生きている化石」と呼ばれています。

現生種とよく似た姿のカブトガニは、約1億5000万年前の中世代ジュラ紀後期にすでに出現していました。

そして、姿は少し異なりますがさらに3億年近く時間をさかのぼった古生代オルドビス紀後期には、すでにカブトガニ類が出現していたことがわかってます。

ルナタスピス」は、知られている限り最も古いカブトガニ類です。

つまりカブトガニ類は、実に4億4400万年以上もの間、『戦略』を変えずに命をつないできたことになります。

世界のどこにいても、4億年間どの時代でも姿が同じ「カブトガニ」に圧倒されました。

恐竜と同じ時代から続く、誰もが知っている「シーラカンス」


一般に「シーラカンス」と呼ばれている魚は、「ラティメリア」のことのようです。

より正確には、アフリカの東岸沖で生息が確認された「ラティメリア・カラムナエ」と、インドネシアで確認されている「ラティメリア・メナドエンシス」を指すようです。

その一方、学術上の「シーラカンス」は「シーラカンス類」というグループを意味しています。

ラティメリアが「生きている化石」と呼ばれている理由は、太古のシーラカンス類とほとんど姿が変わってないためです。

中世代白亜紀半ばのヨーロッパの海にいた「マクロポマ」は、ラティメリアと近縁で、姿が似ている魚の最古の種類とされています。

つまり、マクロポマからラティメリアまで、シーラカンス類は姿をほぼ変えることなく8000万年以上命脈を保ったことになります。

デボン紀に登場したシーラカンス類は、特に中世代に大繁栄したようです。

この時の生息域は浅海が中心で、淡水域にもいたようですが、浅海や、淡水域の種は滅び、現在では深海に生きる2種しか確認されていません。

「深さ」が助けたのでしょうか。気になるところです。

この目で見られる!数千万年も今と同じ姿で生きる動物園の動物たち

恐竜やアンモナイトが絶滅した後、哺乳類や鳥類が繁栄した時代から変わらぬ姿を維持してる動物園の動物がいます。

その中でも注目は「コウモリ」です。


翼種類は空を自由に飛び回れる哺乳類で、現生種は「クビワコウモリ」のような小型種のグループと、もっと大きな体を持つ、大型種のグループに分けられます。

このうち、小型種のグループは自ら超音波を発し、その反射をキャッチしてまわりの様子を把握しています。

エコロケーション」と呼ばれるこの能力によって、暗い夜や、陽の光の届かない洞窟でも自由自在に飛び回ることが出来ます。

遅くても約5000万年前には最古の翼種類が複数種いたことがわかってます。

オニコニクテリス」はそのひとつで、見た目は現生種と変わりがありません。

ただ、オニコニクテリスはエコロケーションが出来なかったようです。

翼種類はエコロケーションを手にすることで、繁栄の道を歩み始めたと考えられています。

とても現生種はハイスペックですね。

生きている化石の生き方を考察して、自分の生き方の参考にしよう

この本では様々な「生きている化石」が紹介されています。

進化を重ねても、姿がさほど変わらない生き物たちや、近縁に姿を変えたものがいたにも関わらず、「似た姿」を維持し続けてきた生き物たち。

彼らがなぜ生き抜いてこれたのかは、多くの場合でわかっていません。

なぜ生き残ることができたのか

その謎に思いを馳せることで、現代を生き抜くヒントがみつかるかもしれません。

よむよむライター・太田ウシ美

詳細はこちら!

「生きている化石図鑑」(笠倉出版社)

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