【いきもの イキイキ 生き様 銘記】#5「アフリカゾウ」
話が違うじゃないか
どうも。しがないフリーのピン芸人、小林ぼっちです。
「モテる」ということは人類、もとい生き物にとって〝生きる目的〟であるといっても過言ではない・・・かもしれません。
少なくとも「モテたくない」なんて公言してる人は、強がっているだけか、生命の存続が危ぶまれるほどモテすぎている人くらいのはず。
私もしかり、芸人などといった人前に立つ仕事を選ぶような輩は、大なり小なりその意識は絶対に持っています。特に役者とミュージシャンはそれの塊だそうです。いや、私はそんなことないと思いますよ。でも塊なんですって。じゃあそうなのかな。
さて、かの大魔王ゾーマ(ドラクエⅢ)も朽ち逝く間際に「光ある限り闇もまたある」と残したように、モテるやつの陰には必ず非モテが存在します。
清々しいばかりに後者の私ですが、それでもこの歳までなんとか前向きに生きてこれたのは、中学の時にクラスのIさんからもらった「小林君は30になったら絶対モテるよ」という言葉でした。
当時まだ純朴だった私は「つまり今は・・・」なんて野暮な深追いはせず、自分には明るい未来が待っているんだと生きる希望が湧いたのです。その後、微分積分も古文活用法もすべて忘れようが、その言葉だけは大事に胸にしまって大人になりました。
話が違う。
20代半ばで早くも頭髪に問題が出始めたあたりで気づくべきでした。32歳になった今、私は早くお金持ちになって犬を飼うんだ~という気持ちで頑張っています。
アフリカゾウ
そんな我々の哀しみをよそに、人間と同じくらい長生きするゾウにも「モテキ」が存在するようです。
しかしそこには意外? はたまた妥当? な特徴があります。
■アフリカゾウ 体長:6~7.5m 肩高:3~4m 体重:5~8t 生息地:アフリカ大陸、サハラ砂漠以南のサバンナや森林
アフリカゾウを知らないという人は少ないでしょう。ましてや動物園でその巨体を生で見たことがある人も多いはず。それくらいメジャーな動物です。
そんな陸棲動物最大のアフリカゾウ。オスには1年のうちの約3カ月ほど「マスト期」と呼ばれる生殖ホルモンが大量に分泌される時期があります。この時期のオスは頬の特殊な腺からフェロモンをバンバン分泌してメスを誘うのです。
オスのゾウは15歳ほどで成熟しますが、このマスト期が安定し始めるのは35歳になったあたりから。そしてなんと・・・50代で全盛期を迎えます! ゾウの寿命がだいたい60~70歳と考えると、かなり遅咲きで青春がやってくることになりますね。
一般的な哺乳類は加齢とともに精力も衰えていくのが常ですが、ゾウの場合は歳を重ねた方がよりメスに対してアグレッシブに。実際、フェロモンが出まくりの高齢オスの方がメスにモテるのです。
まさに「若ゾウは引っ込んでろ!」といった具合。
明るい50代を夢見て
なんだか基礎化粧品のキャッチコピーみたいになってしまいましたが、心からそう思います。
日本全体が高齢化している現代社会において、芸人界ももはや〝40代若手〟は珍しくありません。それが社会的に見て幸か不幸かは知ったことではありませんが、とにかく懐のでかさに定評のあるお笑い界では今後50代、60代になっても明るく楽しく芸人を続けたいやつらが湧いてくるはず。
そんな時、いくつになっても「モテる」という実感はモチベーションとして必須になってくるでしょう。我々もゾウを見習ってイケオジを目指すべきなのです。
さて、実は私、1987年の8月生まれなのですが・・・動物占いだと「ゾウ」なんです。
なるほど、そういうことだったのか。私のモテキは30代ではなく50代である線が濃厚になってきました。明るい未来が見えてきたところで、まだまだこの世界に居座ってやろうと心に決めたのでした。
文・イラスト:小林ぼっち