【いきもの イキイキ 生き様 銘記】#1「トウキョウトガリネズミ」
まずは自己紹介
皆さま、お初にお目にかかります。私は小林ぼっちと申しまして、その名の通りピンで活動しているお笑い芸人でございます。
一口に「お笑い芸人」と申しましても、その様相は天から地、はたまた地下にまで及ぶほどの高低差がございまして、収入グラフのほぼ十割をアルバイト代で染め上げているような私は、まごうことなき“地下芸人”の一人です。
さて、そんな私の生活をフルに支えてくれているアルバイトこそが、実はこちらの伊勢出版でのお仕事でございまして、この度そのご縁からここのWebサイトにて連載を担当させていただける運びとなりました!感謝・・・(泣
というわけで、今回から小林ぼっちのスーパー抱腹絶倒ユーモア炸裂ギャグ満載ハイセンス新感覚お笑いコラムの連載はいったん見送って、生き物の変わった生態をご紹介していきます。
なにを藪から棒に?
と、お感じでしょうが・・・私はもともと動物や虫や魚が好きで、よくそういった生き物のあれこれを見たり調べたりするのが趣味なのです。彼らの生態は実に多種多様で、およそ人間の我々には想像もつかないような習性や能力であふれています。
しかし、だからこそ、そんな目から鱗の生態に習い、時に反面教師にすることで、我々の人生観が刺激されて日々の生活に豊かさが増すのではなかろうか! ・・・という大義名分でございます。
まあ平たく言ってしまえば、みんなで生き物の珍しい生態を知って楽しもう! という連載企画です。
トウキョウトガリネズミ
さぁ! そんな記念すべき第1回目に紹介する生き物は、トウキョウトガリネズミ。
■トウキョウトガリネズミ 体長:4~5cm 体重:1.5~1.8g 生息地:北海道の草地
何を隠そう今年が鼠年だからという安直な理由で選ばせていただきました・・・が、このトウキョウトガリネズミはなにかとツッコミどころが多い生き物なんです。
そもそも実はまず「ネズミ」じゃなくて「モグラ」の仲間。
さらに「トウキョウ」と名乗っておきながら生息地は北海道オンリーという筋金入りの道産子。なぜ東京の名が付いたのかというと、彼らが発見された時の標本のラベルが「Yezo(蝦夷)」と間違えて「Yedo(江戸)」と表記されてしまったためだと言われています。芸人の私からすればかなり“おいしい”エピソードを持っていてうらやましい・・・。
さて、そんなあべこべなトウキョウトガリネズミ君の特筆すべき生態は「大食漢」。
体長は約2~3cmで体重は2gにも満たないというミニマムサイズ。そんな世界最小クラスの哺乳類でありながら、極寒の冬でも冬眠しないというストイックな彼らはすぐに奪われてしまう体温をまかなうため、ひたすら食べて食べて食べまくらなければいけない宿命を背負っています。
その量は一日で自身の体重の3~4倍は必要とされていて、彼らは主食としている土の中の昆虫やミミズを常に探し回り、なんと30分おきに食事と休息を延々繰り返すという目まぐるしい毎日を送っているのです・・・。
クイックライフに学ぶもの
まだまだ詳しい生態が判明していない彼らの寿命は明らかではないですが、おそらく自然下では1年前後だろうと言われています。
なんて濃くて短い一生・・・。
近年では“スローライフ”などという生活スタイルがもてはやされておりますが、果たして一概にそうでしょうか? 常にエネルギーを吸収し、放出し続ける慌ただしいトウキョウトガリネズミの生き様は確かに不器用ではありますが、どこか憧れてしまうバイタリティーにあふれたものでもあります。
熊本から上京し、芸人になって8年。いつの間に当初のトガリも削れつつあるモグラ芸人の私にとって、トウキョウトガリネズミの生き方には見習うべき部分がたくさんある! そんなことを痛感しつつ、ネタを書くのは明日に回して今夜もぐっすり8時間睡眠をとってしまう自分もまた嫌いにはなれない私なのです・・・。