【キムラケンジの3時のごはん】第7食「花より団子」と「いとをかし」
古来より食べ物は、日本のことわざでよく使われてきた。
例えば「花より団子」ということわざ。これは「花を見る風流さよりも、団子を食べて食欲を満たす」ということから、風流よりも実利を選ぶことのたとえとして使われている。
近年では花見をしながら団子というよりも、ビール片手に桜を楽しむというのが一般的になりつつあるものの、日本人たるものやはり花の下では三色団子を食べたいものだ。
ところでこの三色団子には、色や順序に意味があるということをご存知だろうか。
諸説はあるようだがピンク(桜)、白(春に飲む白酒)、緑(よもぎ)の順に串に刺し、それが「春」を表しているのだとか。
その他の説も、季節を表すことだったり、縁起物としての三色といったように、いずれも風流の感じられるものであった。ちなみに季節を表す場合は、ピンクが春、緑が夏、白が冬で、秋だけがすっぽり抜けている。しかし、これは「秋がない=飽きがない」という洒脱な駄洒落で、まさに「いとをかし」である。
そして、先ほど「ご存知だろうか」としたり顔で問いかけてしまったが、ひとつ謝らなければいけないことがある。三色団子の由来、実のところ私もつい先ほど知ったばかりで、しかも、インターネットでほんの少し調べただけの知識である。さも自分の知識をひけらかすようなことをしたが、非常に浅い知識であることを詫びたい。
余談だが、三色団子の意味についてイラスト担当のまつざき氏に教えたところ「ほほう、いとをかしですね。お菓子だけに! あ、お団子食べたくなりました!」という回答が返ってきた。
その返答からは洒脱さや風流さは感じられず、まさに「花より団子だなあ」と思ったことはここだけの話である。
(終)
コラム:キムラケンジ
イラスト:まつざきしおり